北欧、フィンランドをこよなく愛するカフェ店主がつづる日々のあれやこれや。
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この季節になると、なぜか無性に聴きたくなる音楽がある。

ゆうべ君をみたとき、あのなつかしい感じがしたんだ ーと歌いはじめるチェット・ベイカーの「That Old Feeling」。イントロの軽快なトランペットとは対照的に彼の歌声はどこか物憂げで、「クルーナー唱法」とよばれる抑制のきいた歌い方は聴く者に不吉な感じすらあたえる。期待と不安ーその両極を振り子のように揺れ動くそのあいまいな感じは、だが、ラブソングにはむしろうってつけのようにも思える。そういえば、「フィガロの結婚」に登場する「ケルビーノのアリア」もまさにそんな感じだ。

ならばなぜ、きまってこの季節になるとこの曲を聴きたくなるのだろう?それはたぶん、5月から6月にかけてのこの時期がまた、なにかあいまいな感じを孕んだアンビバレントな季節だからではないだろうか。

春と夏のあいだで戸惑っているかのようなこの季節、雨というわけでもないのにもわっとした湿り気を含んだ夜の空気のなか歩いていると、なにやら例のあいまいな感じに見舞われてどうにも落ち着かない気分になってしまう。そして、そんな気分のときぴたりとハマるのが、ほかならぬチェット・ベイカーの歌うこの曲なのだ。

さらに話は個人的になるのだけれど、もうひとつ、ぼくにとってこの曲はダービー前夜、つまりまさに今夜(!!!)のテーマソングでもある。「ダービー」の日の、競馬場を包む高揚感は格別のものだ。その浮き立つような感情と、だがいっこうに「予想」の定まらない焦燥感。むしろ、考えれば考えるほど「正解」は遠のいてゆくように思われる。チェット・ベイカーが耳元で歌い出すのは、きまってこんなときだ。


チェット・ベイカー・シングス チェット・ベイカー・シングス
チェット・ベイカー (1995/04/26)
東芝EMI

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