北欧、フィンランドをこよなく愛するカフェ店主がつづる日々のあれやこれや。
午前中はたしか晴れていたはずなのに、店を開けるころにはどんよりとした曇り空。灰色の雲間からは弱々しい太陽がときどき顔をのぞかせる。

Stay in the Shade / Jose Gonzalez
こんなあいまいな空模様には、ホセ・ゴンザレスのナイーブな歌声を。Nさんから教えてもらったアルゼンチン系スウェーデン人のシンガーソングライター。このEPは、最近耳にしたなかでも飛び抜けて好きな一枚で、初対面の人に「こういうのが好きなんです」と名刺代わりに手渡したいくらいだ。けっして「明るいひと」という印象はあたえないだろうけれど。本当に、すごくいい。
The Prince of Wales / Devine & Statton
ところで、アリソン・スタットンの歌声も曇り空によく似合う。ウェールズの空もきっと、こんな感じなのだろうか?いま読んでいる本、ロアルド・ダールがみずからの子供時代を追想した『少年』にもウェールズの街がよく登場する。ちょっとした偶然。
わたしとボサノバ / オムニバス、ナラ・レオン 他
曇り空の気分はキープしつつも、ボサノヴァですこしだけ方向転換を図る。渋いけれど佳曲ぞろいの、"ありそうでなかった"選曲が心憎い。
Juventude/Slow Motion Bossa Nova / Ronaldo Bastos、Celso Fonseca 他
手が離せなくなったらセルソ・フォンセカに逃げる。これ、いつものパターン。いい意味で中庸、ピッチャーでいえば優秀な「中継ぎ」タイプ。ぜひ、一家に一枚セルソ・フォンセカ。
ラップランドに愛を込めて/Souvarit
Jussiさんのリクエストによる、哀愁のスオミ・ボッサ(笑)。というよりは、むしろ、まんまボサノヴァ調昭和歌謡の世界。『吹雪きに散った二人の愛が・・・』、司会の玉置宏です。
エテパルマ~夏の印象~ / 中島ノブユキ
フィンランドから、スペイン経由でブラジル、そしてアルゼンチンへ。ジャズ〜クラシック〜ワールドミュージックと自由に横断する気鋭のピアニストによる、いま局所的に超話題となっている一枚。「大人の女性」とは、たぶんこういうのを聴く女性のことでは?
プレイヤーズ&オブザヴェーションズ / トールン・エリクセン
夕陽がさしてきたので。ノルウェーのシンガー、トールン・エリクセンによるこの二枚目のアルバムは、たそがれどきのオスロのカフェのイメージ(オスロ、行ったことないけど)。そしてなんといってもアレンジが最高!まさに絶妙の味つけ。
Jussara/Jussara Silveira
店内には男子ニ名。そこで、ブラジルのシンガー、ジュサーラ・シルヴェイラが歌うジョルジ・ベンのちょっとロックっぽいナンバーをどうぞ。でも、いちばんのお気に入りはシコ・ブアルキの「Desencontro」のカバー。プールからあがった後のようなけだるい感覚は、まさにこの季節ににつかわしい。アントニオ・カルロス・ジョビンの孫、ダニエルが弾く夢見心地なフェンダー・ローズ。この曲は、cafe vivement dimancheの堀内さんが選曲したCD「ハワイアナス・モーダ・ヴィーダ」でも聴ける。
ディスガイセズ / スチュアート・シャーフ
閉店の時間まであとわずか。シンガーとしてよりも、むしろプロデューサー、あるいは腕利きのミュージシャンとして知られるスチュアート・シャーフが、1975年に残したたった一枚のソロアルバム。おだやかで、やわらかなその歌声。にぎやかに閉店を迎える日もあれば、こんなふうにひそやかに閉店を迎える日もある。これが日々のカフェ。