北欧、フィンランドをこよなく愛するカフェ店主がつづる日々のあれやこれや。
経堂のギャラリー&カフェ「appel」さんから、来月19日をもって閉店されるとのお知らせをいただきショックをうけている。それは、これで街からまたひとつ「好きな場所」が消えてしまうという寂しさであり、むなしさでもある。

店の価値というのは、(あたりまえだが)その大きさにあるわけではない。お店をやっているひとに、その場所をどういう場所にしたいかという明確なヴィジョンがあること。そして、じっさいの運営においてもじゅうぶんな愛情を注ぎ、誇りをもっていること。それがすべて、である。そしてその意味において、「appel」はじつに「いい店」だとぼくは思う。このおなじ東京に「appel」が「ある」という事実は、ぼくが「moi」を運営するにあたっても大きな励みとなってきた。ほんとうに残念だ。

ところで、「appel」について思うとき、ぼくはいつも「インデペンデント」ということばを思い出す。それはきっと、「appel」を運営されているTATTAKAさんと泉沢さんのおふたりがともにアーティストであること、ギャラリーのほか冊子の発行などを通じて現代美術家たちの活動をバックアップしてきたことと関係があるだろう。そこでは、「こうあるべきだ」というおふたりの確信がそのまま、真正直に「appel」という空間となって結実していたように思う。なにものにもよらず、自分の足で立つ者のまわりにはいつも清々しい風が吹くものだ。もちろん「appel」にもそういう清々しい風が吹いていた。

今後は、それぞれアーティストとしての制作活動に専念されるとのことだが、これまでどおり冊子の発行はつづけてゆく模様。「appel」のスピリットはそこに引き継がれてゆくのだがら、ぼくらはよろこぶべきなのかもしれない。

TATTAKAさん、泉沢さん、おつかれさまでした。そして、ありがとうございました。