北欧、フィンランドをこよなく愛するカフェ店主がつづる日々のあれやこれや。

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松江城の天守閣を臨む高台に、不昧公の好みにあわせてつくられた茶室「明々庵(めいめいあん)」がある。このあたり、木々が鬱蒼と生い茂るちょっとした台地になっていて、かつてその麓で暮らしていたラフカディオ・ハーンによると、ウグイスやフクロウはもちろん、ときにはホトトギスの啼く声まで聞かれたそうだ。

待合から茶室につづく明々庵の「露地」
明々庵1

岡倉天心によると、「露地」の役割とは「外界とのつながりを断ち、新鮮な感受性を呼び覚まして、茶室での美的体験を存分に味わえるように備えさせる」(大久保喬樹訳)ことにある。つまり、このほんの短い小道で、客は自分自身をリセットするのだ。茶室でお茶をふるまわれることで「リセット」されるのではなく、「露地」で「リセット」することによって茶室での体験がよりいっそう特別なものになるというわけだ。もし、喫茶店や居酒屋にも「露地」があったなら、店で会社や家庭の愚痴をこぼすひとが減るかもしれない!?

日ごろ雑然とした場所で生活しているせいか、茶室の清潔かつ簡潔な空間には単純にあこがれるものがある。そういうところに住めないのなら、そういう気持ちを呼び覚ましてくれる空間を身近につくるというのも手だろう。moiもそういう場所になれたら最高なのだけれど。
明々庵2

↑茶室をのぞきこむ怪しげな人影(=店主)。