北欧、フィンランドをこよなく愛するカフェ店主がつづる日々のあれやこれや。

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大阪へ出張していた奥さんから、コーヒー豆のおみやげ。

仕事場が難波だったせいで、毎日ひとりで喫茶店めぐりをしていたらしい。丸福珈琲店喫茶「アメリカン」、そしてアラビヤ珈琲店。入れ知恵したわけでもないのに、よくもまあマニアックなとこばかり・・・

なかでもとりわけ気に入ったのが、このアラビヤ珈琲店のブレンドらしい。

さっそく淹れてみると、しっかり深煎りでコクもあるのに、ほんのり酸味が残っている。見た目はいかにもフルシティー、いやそれよりももっと深い?といった感じなのにこの酸味。いったいキミは誰???ほんの少量、煎りの浅めなモカでもブレンドしてあるのでしょうか・・・。基本深煎りでもただ苦いだけじゃない。こんな芸の細かさに、長年お客様に慕われてきた名店の「底力」を見た思い。俄然、難波の実店舗で味わってみたくなりました(年内に一泊とかで大阪に行けないものだろうか)。

ちなみに奥さんの心残りは

「ゼー六」に行けなかった

こと。かのキダ・タロー大先生も「まさにアッパレ偏屈オヤジ!」と絶賛(?)する老舗である。

しかしまったく、大阪の、右も左も分からないはずなのにマニアックなものに対する嗅覚のスゴさは並大抵じゃないな、ウチの奥さん・・・
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ひと呼んで、根性の木

吉祥寺にやってきたとき、お客様のHさんからプレゼントしていただいたときはこんな姿でした。その後、丈も倍以上に伸び、なんども瀕死の危機に陥りながらもその度スタッフの献身的な愛(←スタッフのKからこう書くようにとの指令あり)によってよみがえった奇跡の樹です。さすがにもう駄目?という状況から、またまた若葉が芽生えてきました。そのとどまるところを知らない上昇志向は、どこか「世界のYAZAWA」を彷彿とさせます。

心が折れそうなとき(ほぼ毎日)、この木の不屈の魂にいつも励まされているのです。
先月から今月にかけては、ひとことで言うとはじめての○○フェアーといった調子でめまぐるしくも刺激的な日々を過ごさせていただいた。

二週連続でTIMBER YARDさんのイベント「スカンジナヴィアフェア」でコーヒーを淹れさせていただいたのを皮切りに、アアルトコーヒーの庄野さんをお迎えしての「コーヒーの淹れかた教室」、それに「フィンランドのカフェとコーヒーのお話」というテーマでみずからお客様を前にしゃべってしまうという禁断の(?)イベントまでやってしまった。しかもその合間には確定申告があり、さらにはスタッフの結婚パーティーでの乾杯のスピーチという大役まであったのだ。いやいや、ある意味恥かきまくりの一ヶ月間だった。一説によると、人間恥をかくと若返るらしいので、そうなると中2くらいにはなっているかもしれない。

さて、後回しになっていた原稿もなんとか無事締め切り前に入稿し、きょうはひさびさのオフといった感じ。午前中、近所の病院で区の健康診断を受け、そのまま「生活と芸術~アーツ&クラフツ」展を観るため上野へゆく。

途中、昼ごはんに「双葉」でとんかつを食べる。検査のため朝食を抜いていたのに加え、奥さんのおごりだったのでとても美味しくいただいた。上野生まれのウチの奥さんにとって、ここは子供のころによく連れてこられた思い出の店なのだという。メニューはとんかつ単品と定食のみ。その定食は2,940円で庶民がお昼に食べるには心拍数が上がってしまう値段だが、店はサラリーマンや近所のひとで満席状態。ほんとうに日本は不景気なのか、にわかには信じがたくなる。とにかく厚切りなので、肉食った~という満足度は100%である。

futaba

その後、近所のサウナに掲げられた林家ペーの等身大パネルを横目に見つつ上野公園を通って、「穴稲荷」をお参りしてから東京都美術館へ。上野公園の桜はまだほとんどが二分咲き程度だが、すでに花見に興じるひと、場所取りをするひとでにぎわっている。まあ、花粉症の自分にはまったく関係のない話である。

uenopark

そして「アーツ&クラフツ展」。

artscrafts

今回の展示の特長はたぶん、イギリスの「アーツ&クラフツ運動」と日本の「民藝運動」を同時に取り上げているところにあると思うのだけれど、そもそもその対象となるものが家から家具、食器などにいたるまでのくらしの道具全般と広範囲に及んでいるため、この規模の展示ではなかなか言いたいことが伝わらないというもどかしさを感じてしまった。展示も中心はあくまでもアーツ&クラフツ運動にあり、一方日本では「民藝運動」がありました、ではドイツでは?ロシアでは?北欧ではどうだったでしょう?といった調子でさらりと並べてある感じ。展示にもっと工夫というか、主張があればもっと楽しめたのに・・・そんな印象。

イギリスの「アーツ&クラフツ運動」の場合、ウィリアム・モリスやジョン・ラスキンといった創始者によるユートピア的(?)、コミューン的(?)な理想がその端緒となっているのに対し(完全に社会運動)、柳宗悦の「民藝運動」では、素朴なもの、荒々しいものの中に「美」を発見するといった「美学的観点」が中心に据えられているようで、そう思うとじつは両者は似て非なるものということか・・・体調があまりよくなかったので、それぞれの展示物をじっくり観るというよりは、そんなことをぼんやりかんがえながら観ていたのだった。

それにしても風邪をひいたようだ。ふっと気が抜けたとたん風邪をひくなんて・・・わかりやすい体質。

「Zipper(ジッパー)」5月号の「おうちカフェのススメ」というページ内「カフェがお手本!インテリア作り」というパートにてmoiが紹介されています。お部屋を北欧テイストにするためのポイントをいくつか、ご紹介させていただいています。

それにしても、毎度思うのですが若い女の子向けのファッション誌って面白いですよね。「メイクお悩み解決塾」はよいのですが、いきなりキャッチが「整形級スゴ技!」って・・・さすがのドクター高須も出番なしですね。

ちなみに「花嫁タイプTEST」では、伝統を重んじてきちんとしたところのあるワタシは「キャリア花嫁」と意外な結果!?でした。

Zipper (ジッパー) 2009年 05月号 [雑誌]Zipper (ジッパー) 2009年 05月号 [雑誌]
(2009/03/23)
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雑誌「カフェ&レストラン」2009.4月号、連載「CAFEをやるひと×BARをやるひと」のテーマは「ちいさなお店と不況」

ちいさなお店って、特に飲食店の場合、どうしてもキャパシティーがあるせいでどんなにお客様が来ても無限に儲かるっていうことは絶対にないんですよね。逆に言うと、上限がそこそこのところで決まっちゃってるせいか、悪いときと良いときのギャップもそれほどではない気がします。その分、不況でもダメージは最小で済むということでしょうか?なんか、人間がどんどん小さくまとまっちゃいそうですが・・・

ところで以前吉祥寺にあって地元の方から愛されていた「かうひいや3番地」という喫茶店、ご存じの方もいらっしゃるでしょうが、昨年秋に鎌倉に移転されたようですね。今号で紹介されていました。

あと、特集はずばり「カレー大特集」。中野の「カルマ」のレシピも紹介されていてカレー好きは要チェックです。

カフェ&レストラン 2009年 04月号 [雑誌]カフェ&レストラン 2009年 04月号 [雑誌]
(2009/03/19)
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あらかじめ詳細をお知らせすることができず申し訳なかったのですが、本日は閉店後に日ごろから大変お世話になっている「aalto coffee」の庄野雄治さんを徳島からお迎えし「コーヒーの淹れかた教室」を開催しました。

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今回は急きょ決定したため月曜日の夜にたった一回、しかもぜんぶで十名ほどの参加者しか受け付けられなかったこともあり、ほとんどの参加者は日ごろからモイによく足を運んでいただいていたり、あるいはコーヒー豆をコンスタントに購入していただいたりしてくださっている方々の中から、さらにタイミングよくご来店くださった方々に直接お声をかけさせていただきました。言ってみればラッキーガール&ラッキーボーイたちですね。

コーヒーはあくまで日常の飲み物なのだから、おいしくて新鮮なコーヒーができるだけ安く手に入った方がいい。そして当然、誰でも自分の家で、しかもできるだけかんたんにおいしいコーヒーを淹れられた方がいい。

かいつまんで言ってしまえば、庄野さんの仕事人としての「ツボ」はつねにそこにあるのだと思うのです。だからコーヒーの淹れかたにしても細かい理屈を並べ立てるのではなく、あくまでシンプルに、かつ実践的であることにこだわっています。そして、結果できあがるコーヒーの味もさらさらと柔らかく、ほのかに甘く、「毎日、何杯でも飲めるコーヒー」をめざす庄野さんの方向性を見事に体現しているのでした。

また、みんなで淹れたコーヒーがどれもひとつひとつ、まるでそれぞれの「ひと」を表しているかのように少しずつ変わっているのを楽しげに自分の舌で確認している参加者の方々の表情がとても印象的でもありました。

最後には、ものぐさ向けに?大胆かつ原始的な抽出方法を披露。究極のアールトイズム、ここに見たりといった感じでしょうか?

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きょうは、閉店後「フィンランドのコーヒー、そしてカフェのお話」というテーマでお話しさせていただきました。ご来場いただきましたみなさま、本当にありがとうございました!

TRADEWINGのYumicoさんによる巧みなリードがあったとはいえ、自分が日ごろ感じていることや考えていることを、言葉を介して的確に伝えることの難しさをあらためて痛感したひとときでもありました。恥ずかしいことを思い出してついつい声が出てしまう、そんなことがよくありますが、きょうは家に戻ってからひとり「あ"ー」とか「うげぇ」とか叫んでは家の者に不審がられておりました(苦笑)。

ただ、そんなヘタクソなりに伝えたかったこと。それは、ぼくにとってmoiの《原点》はやはりフィンランドのカフェに流れるあの「時間」なのであって(デザインでもコーヒーの味でもなく)、そんなコーヒーカップ一杯分の豊かな「時間」をみなさんと共有したくてこの場所をつくったのだということ。なので、それがなんとなく、少しでも感じていただけたのならとてもうれしく思います。

ところで、いままで日頃お世話になっている方々を引っ張り出してはトークイベントなどやってきましたが、今回初めて自分が前に出てしゃべることで見えたもの、というのもありました。

たとえば、みなさん終わった後に参加されたお客様の感想をけっこう気にされるのですね。「なんか感想とか聞きましたか?」とか「だいじょぶでした?」とか・・・。いままでは、ぜんぜん大丈夫、面白かったですよーとかふつうに答えながらも、なんでそんなに気になるのだろう?なんて思っていたのですが、いざ自分がやってみると

気になる。たしかに気になる~

というわけで、これからはもっと他人にやさしくなろうと心に決めました・・・

それにしても、お話は一時間くらいの見込みだったのですが、ああ、しまった一時間半くらいしゃべっちゃったよ~と思って時計をみたら、なんと二時間でした・・・ほんとスイマセン。今年はひさびさに六月にフィンランドに行ってこようと思っているので、またあらためて情報を仕入れ、チャンスがありましたらよりヴァージョンアップしてみなさんにお伝えできればいいなと考えています。

ありがとうございました!!!

とーく
■ 告知のため、この記事はしばらくトップに置いておきます ■

3月のmoiは、なぜだかいろいろなことが集中してしまい、イベントやら臨時休業やらお知らせしなければならないことが盛りだくさんなため、あらかじめこちらにまとめてご案内させていただきます。


■ 3/3(火)
千葉市のインテリアショップTIMBER YARD(ティンバーヤード)さんで開催中のイベント「Scandinavia vol.04」会場にてコーヒーを淹れさせていただきます。
近隣の北欧好きのみなさま、ご来店をお待ちしております!

■ 3/8(日)
たいへん申し訳ありませんが、都合により臨時休業させていただきます。

■ 3/15(日)
イベント「moi店主によるフィンランドのコーヒー&カフェ座談会」 18時より

・カフェの営業は17時までとなります

■ 3//16(月)
コーヒー教室(詳細は追ってお知らせします) 19時~(未定)

・カフェの営業は18時までとなります


以上、なにかとご不便をおかけしますがよろしくお願いいたします。

moi店主
バレンタインデーに、スタッフA(女)が店主(男)にプレゼントしようとお菓子を焼いたのだった(もちろん義理)。

スタッフAは、せっかくだからとスタッフB、C、D(以上、すべて女)にもおなじお菓子をプレゼントした(たぶん義理)。

受け取ったスタッフB(女)はホワイトデーに、そのお返しにと手作りのチョコレートをスタッフA(女)にプレゼントし、ついでに店主(男)にもおなじものをプレゼントした。

何かがどこかで間違っている。でも、アタマのわるい店主には、もはやいったい何がどうしてこうなってしまったのかさっぱりわからないままである。
ムック『東京のカフェランチ~中央線エリア編』の「吉祥寺」のページにご紹介いただいています。

東京でいちばん個性的なエリア、中央線沿線のカフェを楽しみたい方には格好のガイド本といえるでしょう。ぜひ書店等で見かけたら手に取ってみてください。

東京のカフェランチ 中央線エリア編東京のカフェランチ 中央線エリア編
(2009/03)
桜風舎

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あす3/8(日)は、まことに申し訳ございませんが

臨時休業

とさせていただきます。スタッフとともにとあるパーティーに参加させていただきます。ご迷惑をおかけしますが、よろしくお願い致します。



なお夕刻からは勢いでこちらのイベントにも出没予定。
porkkanakakku

キーワードはやんちゃ。そんな新メニューの登場です。

こちら(↑画像)がその新メニュー、北欧風キャロットケーキ。じつはこのケーキには「原点」があります。それは以前、ぼくが北欧を旅したとき、偶然入ったストックホルムのちいさなカフェで口にしたキャロットケーキです。

ぼくはふだんほとんどキャロットケーキとか食べないのですが、そのたまたま口にしたキャロットケーキのおいしかったこと!洗練とはほど遠い、でも食べれば食べるほどなんだかホッとする味わい。いつかこんなキャロットケーキをモイでも出せないものかと、以来ひそかに企てていたのです。

そして今回、北欧好きでお菓子作りの得意なスタッフとともに試作を重ね(といってもぼくはただただ横から口を挟むだけですが・・・)、あの思い出深い味をなんとか再現することに成功(?)しました!こだわりは食感と風味。一切の変化球を排した直球ど真ん中の北欧の味になっているかと思います。

とはいえ、にんじん嫌いにも全然OKなくらい優しく食べやすい味になっていますので、ぜひいちどお試し下さい(数に限りがありますので売り切れの際にはご了承下さい)。
TIMBER0303

きょうもイベントScandinavia vol.4の会場でコーヒーを淹れるため、千葉市のインテリアショップ「TIMBER YARD (ティンバーヤード)」さんにお邪魔してきました。

今日こそ晴れてほしいっっっ

という願いもむなしく、空はあいにくの曇り空。しかも夜には雪まで降り出す始末でイベントにはいまひとつのコンディションではありましたが、こちらは前回同様とても気持ちよくコーヒーを淹れさせていただきました。

お客様も2週連続でご来店いただいた方や、荻窪時代にお越し頂いたことのあるお客様が偶然ご来店されたりと、うれしいこともちょこちょこありました。

また、ふだんはなかなかお目にかかれない北欧つながりの方々にもお会いすることができました。鎌倉で北欧雑貨を扱う店「krone (クローネ)」のオーナーさんや、渋谷で北欧のヴィンテージを扱う店「haluta (旧ComaGoma)」を経営するTRAFFICのNさんなど。

ところでなにを隠そう、この日はぼくの誕生日でもありました。

というわけで、行きがけにお手伝いで同行してくれた元スタッフより超高級(?)コショウのプレゼント。もちろん、ぼくが無類のコショウジャンキー、ひと呼んでペッパー警部(!?)であるのを知ってのこと。そしてイベント終了後にはサプライズで、ティンバーヤードのスタッフのみなさん(全員とてもすてきな女性ばかり)より千葉のおいしい~ごま油をプレゼントしていただきました。ちなみにぼくは、マヨラーならぬごまアブラーでもあるのです。アブラー(ものすごくいやな響きだ)であることはもちろん、誕生日のことすら話していなかったのになぜわかったのだろう・・・。それにしたってコショウとごま油ブラピとアンジェリーナ・ジョリーにも匹敵するBIGカップルである。

さらに帰りには、稲毛在住で「Kortti」のほうでお世話になっているさおりさんのご自宅にお邪魔して、おいしい焼き菓子とアップルティーまでごちそうになってしまった。しかもお土産つき。

帰りの車中で元スタッフが云うには、

わたしが言うことじゃないですが、いわまさん、こんなにちやほやされる誕生日、きっと後にも先にもこれが最後ですよ

たしかに。こんなに甘やかされて、オレ死んじゃうんだろうか?

いやいや、でも、だからって、



キミに言われたくはないよっ!



降りしきる雪の中、苦々しい思いで荷物を引きずって帰ったのだった(←ウソ、むしろほくほくです。スイマセン)。
TIMBER_FLYER

千葉市のインテリアショップ、「TIMBER YARD(ティンバーヤード)」さんで開催中のイベントScandinavia vol.4もいよいよ明日が最終日です。

そして明日も、2Fのスペースではモイが出張してコーヒーを淹れております

天気予報では、いまのところ先週同様「くもり のち 雨」といったあまりうれしくない予報が出ていますが、千葉周辺の北欧好きのみなさま、ぜひぜひご来店をお待ちしております!

ちなみにぼくは午前10時半の開店から夕方くらいまで会場におりますので、どうぞよろしくお願い致します!
『天然コケッコー』という映画を観たのだけれど(サイトーさん、長々とすいませんでした)、観ながら、島根の山並みのことをなんども思い出した。

原作はS県のちいさな村が舞台で、映画のロケも当然そのS県(島根県)でおこなわれているとはいえ、とりわけ島根の山がこの映画でひんぱんに登場するわけではない。けれども、この映画の登場人物たちがもつ、どこか真綿にくるまれたかのような世界観や、この映画全体を包んでいる空気に触れれば触れるほど、ぼくは松江から出雲空港へとむかうクルマの中から、あるいは一畑電車の車窓からのんびり眺めていたあの山々のことを思い出さずにはいられないのだった。

その山並みはユルユルと、ひたすら視界の片いっぽうを遮っていた。そして、後になって気づいたことだが、それは垣根に似ていた。

山といっても高さはそれほどでもなく、「壁」のように威圧的なところはみじんもない。越えようと思えばいつでも越えれそうな、そんな構えなのに、でもなんだかそれをためらわさせるようなゆるやかな強制力がそこには感じられた。気配だけは薄々と感じられて、いっそのこと勇気をだして背伸びしさえすればすべてが明らかになるはずなのに、目線ほどの高さでつづく垣根はそうすることをどこかでためらわさせる。

この映画の登場人物たちはみな、ためらいつつ、戸惑いつつ、けっして大声を張り上げることもなく、核心に触れることを巧みにかわしながら、海と垣根のような山並みに挟まれた細長い土地に生きている。ほほえみを浮かべて。

ちいさな村にやってきた「都会からの転校生」とか村の少女の「初恋」だとか、ともすれば饒舌になりがちなキーワードであふれているにもかかわらず、あくまでも淡々と、その山並みのようにユルユルと物語はつづいてゆく。そしてそうした語ることへのためらいに貫かれているあたり、むしろ個人的にはこの映画の「ツボ」なのだった。

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(2007/12/21)
夏帆山下敦弘

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