ひょんなことから山川方夫の小説『安南の王子』を読む。
ピンとこない。二回読んでピンとこなかったので、三回読んでみたもののやはりピンとはこなかった。現実と幻想とがいつしかオーバーラップしてゆくお話。こういう小説はやっぱり、そこに描かれる世界に《酔えない》ことには楽しめないのだということがよくわかった。良し悪しの問題ではなく、たんに《酔えなかった》、それがすべてである。たとえば、嶽本野ばらとかすきなひとだったら《酔える》世界ではないだろうか。あるいは、50年代の「東京」のアンダーグラウンドをおしゃれに描いているという意味で、鈴木清順の『殺しの烙印』だとか中平康の『月曜日のユカ』だとかのような趣きもあるかもしれない。
ストーリーには酔えなくとも、この『安南の王子』には短くて、しかもキャッチーなフレーズがところどころにあらわれる。
「馬鹿が結局いちばん気楽なことを、この賢明な馬鹿どもは知っていたのだ。」
「つまり、かれは一日ずつしか生きなかった。」
いまだったら、さしずめコピーライターとしてその才能をいかんなく発揮するようなひとだろう。などと思ったら、後に『洋酒天国』の編集にもかかわっていたそうだ。納得。
ちなみに、いま手に入る集英社文庫版の表紙はイラストが荒井良二、アートディレクションが菊池信義でこの「お伽噺」にふさわしいつくり。夏休みの小旅行に。
ピンとこない。二回読んでピンとこなかったので、三回読んでみたもののやはりピンとはこなかった。現実と幻想とがいつしかオーバーラップしてゆくお話。こういう小説はやっぱり、そこに描かれる世界に《酔えない》ことには楽しめないのだということがよくわかった。良し悪しの問題ではなく、たんに《酔えなかった》、それがすべてである。たとえば、嶽本野ばらとかすきなひとだったら《酔える》世界ではないだろうか。あるいは、50年代の「東京」のアンダーグラウンドをおしゃれに描いているという意味で、鈴木清順の『殺しの烙印』だとか中平康の『月曜日のユカ』だとかのような趣きもあるかもしれない。
ストーリーには酔えなくとも、この『安南の王子』には短くて、しかもキャッチーなフレーズがところどころにあらわれる。
「馬鹿が結局いちばん気楽なことを、この賢明な馬鹿どもは知っていたのだ。」
「つまり、かれは一日ずつしか生きなかった。」
いまだったら、さしずめコピーライターとしてその才能をいかんなく発揮するようなひとだろう。などと思ったら、後に『洋酒天国』の編集にもかかわっていたそうだ。納得。
ちなみに、いま手に入る集英社文庫版の表紙はイラストが荒井良二、アートディレクションが菊池信義でこの「お伽噺」にふさわしいつくり。夏休みの小旅行に。
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