北欧、フィンランドをこよなく愛するカフェ店主がつづる日々のあれやこれや。

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湖に柵がない。

これは、フィンランドでおどろいたことのひとつである。「国民ひとりにつきひとつの湖」と云われるほど湖の多いフィンランドのこと、たしかにフィンランドじゅうの湖という湖にいちいち柵をつくっていたらそれはもう大変なことになってしまう。兵役のように、成人男子はある一定期間かならず「湖の柵をつくる」作業に従事しなければならない、そんな「法律」までできてしまうのだろうか。が、その前にもうちょっとなにかするべきことがあるのではないか?

いや、そういう話ではなく、ぼくがおどろいたのはほかでもない、それが首都ヘルシンキの中心部からほんの数分のところに位置する「湖」だったから、である。「湖」と呼んでいるがじつはそこは「トーロ湾」という奥まった入江で、人やクルマが行き交う大きな道に面している。最初そこを訪れたのは春先のことで、水面はまだ真っ白い氷に覆われていた。「柵」がないので、そのまま氷の上を歩いて対岸まで行けそうである。というよりも、実際そうするやつが後を絶たないのだろう、岸辺には道路標識のような看板がぽつんと立っている。

「割れやすい。氷に注意!」

ならば「柵」をつければいいじゃないかと思ったが、どうやらそういう話ではないらしい。この標識を初めてフィンランドに訪れたとき目にして、ぼくは「なるほど、この国のルールは『自己責任』なのだな」、そう理解した。

対照的なのは日本である。柵はもちろん、「入るな、キケン」「遊泳禁止」「死亡事故発生」などなど、あらゆる看板のオンパレードである。キケンから遠ざけること、できうるならばキケンそのものを隠してしまうことがこの国の「ルール」といえる。

流行りの「オール電化」のCMは、「火を使わないのでお子様にも安心です」と云っている。たしかに小さな子供を抱える親にとってそれは安心にちがいない。そのいっぽうで、家庭はまた子供に「火」の「便利さ」と「恐ろしさ」を教える格好の場所ではなかったか。ときに痛い思いをしたり親にこっぴどく叱られたりしながら、子供は「火」について学んでゆく。逆に言えば、生きられていない経験は空虚である。家庭の外にもまたあたりまえのように存在している「火」と、これからの子供たちははたしてどうやってつきあってゆけばよいのだろう。

ちょっと話を広げすぎかもしれないが、ちかごろの「いじめ問題」や「子供や動物への虐待」、「殺人事件の低年齢化」などにもちょっとそんな気配が漂っている。痛みに鈍感なひとは、他人に痛みを与えることについてもまた鈍感だからである。

柵をつくる前に、もっとなにかやるべきことがあるんじゃないか?

日本人としてそう思わずにはいられないのだ。

PS.ちなみにぼくは田んぼに落ちた経験がある。できれば田んぼに柵をつくってもらえないものだろうか?
コメント
この記事へのコメント
思い出しました
ちなみに、私は幼い頃寝ぼけてトイレに落ちたことがあります(笑)
まだ家のトイレが水洗トイレではなかったのです。
体も小さかった為、期待通り○○○まみれになりました‥

PSペーパー情報ありがとうございました。
来週買いにいきます。
2006/11/19(日) 21:41 | URL | yuri #-[ 編集]
「深いプールは危険だからとそこに入らないように柵を作るより、深いプールでも溺れてしまわないように泳ぎ方を教えるべきだ」ってやつですね!共感です。
ヘルシンキのカウッパトリの港からスオメンリンナまで、昔は冬になるとバスとか車が走ってたってゆう話を聞いたことがあります。乗ってみたかった〜!ただ毎年のように死者がでてたとも…。じ、自己責任の国でも車の乗り入れを禁止したってことは見えない柵がそこにはあるのかもしれないですね。
2006/11/20(月) 02:10 | URL | hirokko #sZpm1ECI[ 編集]
コメントありがとうございます
> yuriさん
そ、それは貴重な体験ですね・・・。きっと無責任な人々から散々「ウンがついてよかったね!」などと言われ続けていることでしょう・・・で、ウンはつきましたか?

> hirokkoさん
ホントウかウソかはわかりませんが、真冬だとエストニアまで行ってしまう強者もいたとかいないとか・・・。入国審査はどうするのか、ついつい余計なことを考えてしまいました・・・。
2006/11/22(水) 19:30 | URL | moi店主 #mLjQvPPA[ 編集]
はじめまして。
田んぼ、私もよくよく落っこちたクチです。どこまでが自己責任?なんだか日常生活の中でも時々そんなことを思うことが多くなった気がしました。
誰かのせいではなく、わりと自分が至らないことの多さを自覚しておきたいです。

フィンランドの湖。
地図を眺めると、無数の湖が存在しているんですねー。
いつか訪れたいと思っています。
落っこちないように気をつけねば...

もし宜しければリンクを貼らせていただいてもよいでしょうか?
では。
よい一日を。
2006/11/24(金) 10:41 | URL | zeauxzeaux #-[ 編集]
はじめまして
> zeauxzeauxさん

はじめまして。「よく落っこちたクチ」なのですね・・・これはハッキリしておかねばと思うのですが、ぼくは「一度だけ」です(笑)。ちなみに自転車ごと沈没しました。さながら「タイタニック号」のように。夕日が美しかったことを憶えています(笑)。

リンクの件、よろこんで。よろしくお願い致します。
2006/11/24(金) 20:01 | URL | moi店主 #mLjQvPPA[ 編集]
リンクの件。う、うれしいです!
いやです、とは言いづらいでしょうし自分でもムリなお願いをしているな、とか思いましたが...
アリガトウございます。
先日フィンランド・カフェで検索をしていたらこちらと出会いました。
上京の際にはmoiカフェさんにこっそり(笑)立ち寄らせてください。

無意識に、正直に暴露してしまいましたがよくというのは事実。
悔しくても誰のせいにもできないんですよねぇ...こればっかりは。
ではまた!

2006/11/24(金) 21:30 | URL | zeauxzeaux #-[ 編集]
9月に「現実逃避」させていただきに伺いました(笑)。実は先日も、
そんな状態になり、伺う途中の電車で、
「これぢゃあいけない!」と引き返しました。でもmoiさんのブログを
まとめて拝見することがつかの間の
「現実逃避」となっている今日この頃です。

「自己責任」というのは、やはり小さいときからの教育に尽きると思わされます。「こうすればどうなるか」ということを考えられる人自体が(自分も含めて)少なくなってきている気がします。私の店に来られるお子様がいらっしゃるお母様方には、「ありがとうは?」や「バイバイは?」という感じであいさつをさせる方が多いのです。子供も意味も
あまり理解していないままオウム返し的にあいさつを。
たまに、「作ってくださった人には
なんて言うの?」や「お水こぼしたらなんて言うの?」と、子供に考えさせながら問いかける親御さんの対応に出会うたびに、「考えさせること」の大切さを実感しています。

長くなりました。また是非お邪魔させてください!
2006/11/24(金) 21:52 | URL | いわせ #-[ 編集]
こんにちは
> zeauxzeauxさん

フレンチテイスト満載のすてきなサイトにリンクをしていただけて、こちらこそありがとうございます。機会がありましたら、ぜひご来店下さい。お待ちしています!

> いわせさん

こんにちは。どこかよその店に行くと、それまでもやもやしていたことがクッキリしたり、勇気づけられたりということはよくありますよね。また「避難所」として、いつでもおいで下さい!
2006/11/26(日) 16:33 | URL | moi店主 #mLjQvPPA[ 編集]
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