北欧、フィンランドをこよなく愛するカフェ店主がつづる日々のあれやこれや。

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8月のあたま以来なので、なんと3ヶ月半ぶりにナマで聴く落語。単純に聴きたいと思う落語会と自分のスケジュールが合わなかったということもあるが、じつはここのところ気の塞ぐようなことが多く、こういうときにこそ落語を聴きたいと思う反面、なんとなく気分がのらないということもあってすっかり時間があいてしまったのだ。でもいい加減、ここはひとつ無理やり羽交い締めにしてでも笑わせてくれるような落語が聴きたいと思っていた矢先、鈴本演芸場11月下席の番組表が目にとまった。

特別企画公演|喬太郎 ハイテンション 高カロリー

コレしかないでしょ。

上野駅そばのイアコッペでごはんを調達し、開場15分ほど前に到着したらすでに数十人の行列ができていた。このなかには、ぼくのような心持ちの人間も幾人かはいるのだろうか。

ここのところ不思議とよくあたる圭花さんが開口一番。「道灌」。そつがない。ご隠居がなにか言うたびいちいち混ぜっ返す、そのテンポがいい。それはそうと、相変わらず青々とした丸坊主だけど二ツ目になったら伸ばすのかな。

左龍師匠「家見舞」。さすがに手堅い。そして、江戸っ子二人組の兄貴分、けっこう食べちゃうんだね。その後、お腹の具合は大丈夫だったかな。お勝手にいるらしい兄ィの「おっかさん」にときおり話しかけるのだが、それがいい。新築の家に奥行きを感じさせるのだ。

奇術うんぬんというよりも、すでに「アサダ二世」というひとつの確立された「芸」なのではないか。ふつうに自宅の近所の様子をおしゃべりしてるだけなのに、すでになんともいえず胡散臭いのだから。

新「二ツ目」のお披露目。駒松改メ金原亭馬久(ばきゅう)。持ち前のいい声でおめでたく「厄払い」を。ちなみに、「馬久二(ばくに)」という先代馬生の気に入っていた名前から「二」を取ったのが名前の由来とのこと。

ちょっと予想外というか、一朝師匠「宗論」がこんなに可笑しいとは思わなかった。耶蘇教にかぶれた倅の調子も変なのだが、それ以上に旦那の叫ぶ「馬鹿ーッ」という甲高い声がもうたまらない。いままで聴いた「宗論」のなかでも抜群。

「若手」とはいえ、寄席育ちの自在さというか、ときにはしたたかさすら感じさせるホンキートンク。関係ないが、漫才コンビのボケツッコミの立ち位置ってべつに決まりがあるわけじゃないんだな。いまさら気づいた。

この後、仲入り前に天どん〜白鳥と円丈師匠の弟子がつづく。トリの喬太郎師匠も、新作、古典の〝両刀使い〟なのでどんなネタをもってくるかわからない。さて、こんなとき天どん師匠はどういうネタをかけるのだろう、興味津々で眺めていると、「わりと珍しい噺をやりますよ。珍しいってことはあんまり面白くないってことだからね」と断っておいて「肝つぶし」に入る。この流れで、新作でも、かといって手垢のついた古典でもなく、こんなちょっと渋めの噺をもってくるあたり新作派と思わせておいてじつは「落語マニア」の天どん師匠らしい。さりげなくこういう〝仕事〟ができるからこそ、このひとは仲間から愛されているのだろうなァ。キラリと光る采配。

弟弟子がいい感じに場をならしてくれたので、当然のごとくやりたい放題の白鳥師匠なのであった。自作の「ナースコール」でもおなじみのミドリちゃんが、今回は就職記念にと自由が丘出身の大学の先輩を歌舞伎町のホストクラブへと招待する。イケメン相手にいい感じに盛り上がっているところに自称「江戸っ子」の「お大尽」マダムが登場、ふたりの邪魔をする。このマダム、「江戸っ子」というのは真っ赤な嘘で、じつは千葉県の「内房」出身。泥酔して正体をあらわしたマダムは、埼玉県出身のミドリちゃん、そして千葉県の「外房」を攻撃しはじめる。すると、突然なぜか自由が丘出身のはずの先輩が怒り出し……。菜の花体操やMAXコーヒーが飛び出す、なるほどこれが噂にきく「千葉棒鱈」か。

仲入り後、まずは太神楽曲芸の翁家社中。小楽、和助ふたりで登場。芸はいままでとなんら変わらないし、むしろふたりになったぶん苦労もあったりするのかもしれないが、まだ和楽師匠が存命だったころの3人組の印象が強いせいか舞台の上がなんとなく寂しい。小花さんは一緒にやらないのかな。

文左衛門師匠がやる「千早ふる」の演出はちょっと変わっている。歌の訳(わけ)を尋ねる相手が、よくある「ご隠居」ではなく「兄ィ」なのだ。ちょっと「手紙無筆」みたい。いたずら心からテキトーなことを教える「ご隠居」に対し、見栄っ張りの「兄ィ」はというと知らないくせに「知らない」とは言えない。苦し紛れにテキトーなことをひねりだす「兄ィ」のキャラは、いかにも文左衛門師匠に似合う。そして、「千早ふる〜文左衛門バージョン」のサゲはおなじみ「(「とは」の意味は)◯◯にまかせた!」と後の出番の演者に丸投げするパターン。きょうはもちろん「喬太郎にまかせた!」

紙切りの二楽師匠。開口一番、「『とは』の意味には触れないでいいと楽屋で確認をとってきました」と笑いをとる。リクエストのお題は、「申(さる)」と「春画」。「触れないでいい」と言われても、ちゃんと後につなげる律儀さはさすが。

喬太郎師匠、いつになく髪が伸びている。忙しくて床屋に行く暇がないのかな? などと余計なお世話。旅先で出会った味、ホッケの刺身、秋田の「オシャレそば」……そんな旅にまつわるマクラから「抜け雀」へ、と思ったら、なんだか様子がちがう。文無しの絵師が描くのは、おなじく文無しの表具師が置いていった衝立ではなくて、土管。絵も「すずめ」ではなく、「はんぺんみたいな、水餃子みたいなもの」。翌朝、近所の人たちが大騒ぎする声で目覚めた旅籠の主人は、そこになんと土管から抜け出た二次元怪獣「ガヴァドン」の姿を発見するのだった。えーーーーっ!?「抜けガヴァドン」!?自分は「ウルトラマンとゴジラと赤塚不二夫、横溝正史、都筑道夫、そしてつかこうへいで出来ている」(『ラジカントロプス2.0』出演時のコメントより)と公言する喬太郎師匠の真骨頂といってしまえばそれまでだが、「抜け雀」という名人もののバリバリの古典落語と、子供たちのいたずら書きが怪獣に実体化してしまうウルトラマンのエピソードをつなげてしまうその卓越したアナロジーの才、やっぱりこの師匠は「天才」だ。そればかりではない、噺の途中おかしなくすぐりがちょこちょこ挟まるなと思っていたら、なんと最後にそれが「千早ふる」の歌の訳(わけ)として完成するというミラクル!!ヒザ前の文左衛門師匠の高座からわずか30分弱でこれを考え、しかも噺の中に入れ込むなんて!!ウルトラマンのポーズを決めて「トワッ!!」って……もう最高、降参です。

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2015年11月24日

上野・鈴本演芸場11月下席夜の部「特別企画:喬太郎 ハイテンション 高カロリー」

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開口一番 柳家圭花「道灌」
◎柳亭左龍「家見舞」
◎アサダ二世(奇術)
◎祝二つ目昇進〜金原亭駒松改メ馬久「厄払い」
◎春風亭一朝「宗論」
◎ホンキートンク(漫才)
◎三遊亭天どん「肝つぶし」
◎三遊亭白鳥「千葉棒鱈」

〜お仲入り〜

◎翁家社中(太神楽曲芸)
◎橘家文左衛門「千早ふる」
◎林家二楽(紙切り)
柳家喬太郎「抜けガヴァドン〜千早ふるver.」


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