北欧、フィンランドをこよなく愛するカフェ店主がつづる日々のあれやこれや。

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おおかたのひとにとってはなんの関心もないことだろうが、きょう二〇〇七年三月二十六日はベートーヴェンの没後百八十年の記念日にあたる。そのとき、ウィーンの自室で生死をさまよっていた彼は、雷鳴がとどろく中、宙に拳を突き上げそのまま息絶えたと伝えられている(ちょっと眉唾っぽいエピソードではあるが)。ところで、なぜそんなことを知っているのかというと、じつはここ最近我が家ではベートーヴェン・ブームが続いているからである。

きっかけは去年の暮れ、映画館で『敬愛なるベートーヴェン』という作品を観たことだった。その昔『太陽と月に背いて』というレオナルド・ディカプリオが出ていた映画を撮った女流監督による新作で、「若い女性写譜師」という架空の人物の視点から晩年のベートーヴェンの姿を描いた一種の「ファンタジー」なのだが、そこに登場するベートーヴェンの人物像があまりにも破天荒なため、いったいどこまでが真実なのか気になってしまったのだった。そこで一冊、さまざまな伝記をベースにその一生を小説仕立てにした本を読んでみたところ、それがあまりにも面白かったのである。そこに登場するベートーヴェンときたら、まさに破天荒そのもの、わかりやすくいうと内田裕也をさらに何倍もスケールアップしたかのような「ロケンロー」なエピソードに事欠かない存在なのだった。シェケナベイビー。こうして、この三ヶ月ほどのあいだに新たに読んだ、あるいはあらためて読み直したベートーヴェンにかんする本は十冊ちかくにもおよぶ。なかには、はるか昔にオーストリアでつくられたわけのわからない伝記映画といったものまで・・・。

たとえば、先日古本屋で奥サンが三百円でゲットしてきた『音楽写真文庫・ベートーヴェン』属啓成(さっか けいせい)著にはベートーヴェンの肖像画をめぐるこんな笑える逸話が紹介されている。

ある画家が肖像を描くため約束の時間にベートーヴェンの家を訪ねると、彼はそのとき起こったある《事件》に怒り狂っている最中だった。そのためその顔から不機嫌な表情が消えることはなく、けっきょく完成した肖像画も不機嫌そうな表情のままになってしまった(こんな感じ→●)。問題はその《事件》の中身なのだが、好物の「マカロニ・チーズを家政婦に命じたが、それができそこなってカユのようになってしまった」というもの・・・あんな偉大な作品を世に送りだした作曲家にして、なんというスケールの小ささ!!!

晩年にかれが書いたピアノ・ソナタや弦楽四重奏といった曲を聴くと、それらがもはや形式や伝統、常識といったものを完全に超えてしまっていることに驚かされる。現代の耳で聴いてもぎょっとさせられるような瞬間がすくなくない。その意味では、百八十年早かったといえるかもしれないが、ロックンロールの始祖は、おそらくベートーヴェンである。
コメント
この記事へのコメント
4月に早稲田松竹にて
『敬愛なるベートーヴェン』、4/14(土)〜20(金) 早稲田松竹にて、上映あります。

私はラピュタ通いで、行けなさそうですが…。
2007/03/28(水) 10:58 | URL | リネン #BejLOGbQ[ 編集]
新文芸坐でも3/31から
新文芸坐でも3/31(土)〜4/6(金)に上映されます。
2007/03/29(木) 10:19 | URL | リネン #BejLOGbQ[ 編集]
>ロックンロールの始祖は、おそらくベートーヴェンである。
まさに『Roll Over Beethoven』っすね(笑)。
2007/03/29(木) 12:36 | URL | TANAKA #-[ 編集]
こんにちは
> リネンさん

情報ありがとうございます。まだ、あちこちの小屋でかかっているのですね・・・どこもたぶん空いていると思うけれど・・・。

> TANAKAさん

願わくば「チャック・ベリーかよ!」とツッこんで欲しかった!?
2007/03/30(金) 15:53 | URL | moi店主 #mLjQvPPA[ 編集]
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