北欧、フィンランドをこよなく愛するカフェ店主がつづる日々のあれやこれや。

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パラード
好きな映画がまた一本ふえた。

ジャック・タチの『パラード』。いまさらながらという感じだが、じつはまだこの作品観ていなかったのだ。「ジャック・タチ晩年の作品」という以外なんの情報もないまま借りて観たのだが、この映画はいい。すごくいい。一気に作品の世界に引き込まれてしまった。

ある日のサーカス小屋を舞台に、芸人やミュージシャンたちが次々に登場しては自慢の「芸」を披露する、とまあ言ってしまえば「あらすじ」はただそれだけ。ジャック・タチはというと、「サーカス団の団長」として自慢のパントマイムをまじえつつ狂言回しの役をつとめている。でも、じつはこのいたってシンプルなつくりの中に喜劇人としてのジャック・タチの「夢」がぜんぶつまっているのだ。それは、「パフォーマンス」というのは芸人(の「芸」)だけで成り立つものではなく、その空間、舞台裏を支える職人たち、そしてなんといってもその場に居合わせる観客たちとの「協働作業」によってはじめて完璧なものになるという、劇場で育った舞台人タチならではの感覚であり、それをこの作品でタチは理想的な条件の下「実現」したといっていいかもしれない。舞台から出発したタチが、映画の世界を経てふたたび舞台へと帰ってきた。おかえりなさい、ジャック・タチ!『パラード』はそういう作品である。

芸人たちが繰り出す「芸」、そのひとつひとつが楽しいしテンポもいい。もちろんスポーツをネタにしたジャック・タチのパントマイムもほんとうにおもしろいのだが、くわえて印象的なのがこの映画全体を彩る「色」である。赤、青、黄、パラードを象徴するにぎやかな色彩が舞台に、そして客席にあふれかえっていて、観ているこちらまでなんだかワクワクと心が浮き立ってくるのだった。ジャック・タチの「粋」。そういっていい「色」の使い方である。

ここからは余談。観ている最中、観客たちの顔がどうも北欧のひとに見えてしかたない。ジャック・タチが紹介するミュージシャンの名前にもなにやらスウェーデンの匂いが。そしてエンドロール、つぎつぎに現れる名前はまぎれもなくスウェーデン人!あとになって調べてみればこの作品、スウェーデンのテレビ局からの依頼で制作されたものだそう。しかもジャック・タチの「遺作」とのこと。

ほかでもないこの映画で人生をしめくくることのできたジャック・タチは、やはり「幸せ者」と呼んでいいと思うのだ。
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