北欧、フィンランドをこよなく愛するカフェ店主がつづる日々のあれやこれや。

2017/07123456789101112131415161718192021222324252627282930312017/09

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
tsubame2009

早朝からノコノコと新宿まで出かけ、METライブビューイングプッチーニの歌劇『つばめ』(↑画像)を観てきた(新宿ピカデリー)。

ライブビューイングというのは、ニューヨークのメトロポリタン歌劇場で上演されたオペラ作品を高画質&高音質で収録し、上演後1ヶ月足らずで世界中の映画館に配信するという試み。ずっと気になってはいたものの、チケットがふつうの映画の約2倍(3,500円)もするのでなんとなく躊躇していたのだ。だいたい、オペラ自体そんなに好きではない。

ただ、今回の演目はめったに上演されることのないプッチーニの『つばめ』。プッチーニのオペラのなかでは(蝶々夫人とかボエーム、トスカ、トゥーランドットなどと比べて)ひどくマイナーな作品とはいえ、バカラックもミシェル・ルグランもアンドリュー・ロイド=ウェーバーも真っ青という美メロなアリア「ドレッタのすばらしい夢」でよく知られる作品だ。映画『眺めのいい部屋』のキス・シーンで使われた曲といえば、「ああ、あれね」と思い出すひともきっといるはず。

でも、早起きをしてまでぼくが観てみたかった理由はほかにもある。それは、完璧なまでに1920年代のアールデコ様式を再現した舞台装置と衣裳のすごさ。いかにもメトらしいお金のかかったプロダクションだ。

社交界の女性たちが着こなすドレスは、例の、ポール・ポワレに代表されるコルセットのないストンとしたフォルムのもので、自由に海を渡って新しい世界へと飛び立つツバメにあこがれる彼女たちを象徴しているかのよう。第三幕での軽快なリゾートファッションも要チェックだし、カフェが舞台となる第二幕の乱痴気騒ぎなど、まさしく『グレート・ギャツビー』の世界そのもの。第一幕、パトロンの邸宅の内装、たとえば幾何学模様にタイルを配した壁や床に、いかにもルネ・ラリック風な扇形の暖炉の柵などディテールにも手を抜いていない。ハイビジョンでたくさんのカメラを駆使しての撮影だけに「どこにも手を抜けない」というのがほんとうのところかもしれないが。極めつけは第三幕の別荘で、背景一面をぶどうをモチーフにしたステンドグラスが覆っている。これはもう完璧にルイス・C・ティファニー。逆にいうとちょっとやりすぎなくらいで、まるで美術館の「黄金の一九二〇年代展」の中で歌手が演じているようにさえみえる。

後になって調べたら、衣裳デザインはFranca Squarciapinoというひとで、ジェラール・ドパルデューが主演した映画『シラノ・ド・ベルジュラック』の衣裳でオスカーを獲っているらしい。舞台美術のほうはEzio Frigerioというひと。このひとはFranca Squarciapinoのだんなさんで、映画やオペラなどおなじ現場で一緒に仕事をする機会が多いとのこと。

ところで、いま気づいたのだが、オペラの記事なのに音楽のことにまったく触れていない(笑)。最初に書いたとおり、ぼくはふだんほとんどオペラを観ないし歌モノも聴かないので、ヒロインを演じたゲオルギューがどうだったとか、相手役のアラーニャがどうだったとか書く資格もないし、そもそも正直なところ書けるほどの印象もない。ゲオルギューはあたかも「着せかえ人形」のようだった。とはいえ、近くで見るとそんなには似合っていないけれど。いや、全然これも音楽の話じゃない。

はじめて接したMETライブビューイングは、舞台の映像だけでなく、幕間に出演者たちにインタビューしたり、客席の様子を映したり、あるいは休憩中、装置の転換のために立ち働く舞台スタッフたちの姿を延々と見せたりと、「オペラ」をより深く知ってもらうためのさまざまな工夫が凝らされているのが特徴的。オペラにかぎらず、演劇だとかミュージカルだとかいわゆる舞台ものが好きなひとなら楽しめるんじゃないだろうか。3,500円はけっして安くはないが、これは面白そうというプログラムであればそれほどには高くない、そんな印象であった。

コメント
この記事へのコメント
コメントを投稿する
URL:
Comment:
Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可する
 
トラックバック
この記事のトラックバックURL
http://moicafe.blog61.fc2.com/tb.php/631-4e63e5f0
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
この記事へのトラックバック
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。