北欧、フィンランドをこよなく愛するカフェ店主がつづる日々のあれやこれや。

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横浜で映画を観た。クリント・イーストウッドが主演・監督をつとめた『グラン・トリノ』である。先日のイベントの際、キノ・イグルーのおふたりが絶賛しているのを耳にして、あらすじもろくすぽ知らないまま劇場へ足を向けたのだった。何を隠そう、クリント・イーストウッドの映画すらはじめてだ。

grantorino.gif

ひとことでいえば、強く心を揺さぶられた。すばらしい映画だったと思う。このブログを読んでくださっているひとのなかで、もしまだ観ていないひとがいたらぜひ観るように強く薦めたい。

ただ、ぼくはもう二度と観ないと思う。むかし、ラース・フォン・トリアー監督の映画『奇跡の海 』を観たときが、やはりそうだった。同じように、これは繰り返し観る映画ではない。

『グラン・トリノ』は、主人公のウォルトという老人の「贖罪」の(みずからの人生に対してみずからの手でオトシマエをつけるという意味で)映画ともとれるのだけれど、クリント・イーストウッドはたぶん誰よりもみずからがアメリカ人であることを誇りに思っていて、だからこそみずからの作品をもって現在の「迷える」アメリカを(誇りある仕方で)軌道修正しようと奮闘しているんじゃないかと感じたのだった。語弊はあるかもしれないが、この映画でクリント・イーストウッドはみずからの「道徳観」を語ろうとしているのではないか。「正義」や「勇気」といった単語の濫用に一番うんざりしているのは主人公のウォルトであり、またイーストウッドそのひとなのだ。

もし、この映画の主人公が朝鮮戦争に従軍し、帰国後は「フォード」の技術者としてアメリカ経済をその底辺で支えてきた誇り高き頑固ジジイではなく、もっと若い人間であったとしたら、この作品はまったく空々しいものになっていたはずである。その「正義」や「勇気」はいままで使い尽くされたものとなにも変わらないからだ。だから、いまこの時期にクリント・イーストウッドがこの作品を監督し、みずから主演したのはとても意味のあることなのだ。

筋がバレてしまうのではっきりと書くことはできないけれど、最後の十五分ほどがぼくにはとても重要に感じられた。それはウォルトが、異文化に育った隣人たちのほうが自分の息子やその家族たちよりもはるかに「共通点がある」とため息まじりに呟く場面と呼応している。

すばらしい映画と出会った後の常として、映画館を出てから、はたして結末はこうでなくちゃならなかったのか? ほかのやり方はなかったのか? とずっと考えていた。観たひとに、そういう余地を残しておける作品というのはいい作品だとは思うのだが、あいにくの雨模様もあって、おかげでせっかくひさびさに訪れた横浜だというのにどこに行く気分にもなれずそのまま帰ってきてしまったのだった。

いったいなんのためにわざわざ横浜まで行ったのやら・・・。
コメント
この記事へのコメント
気になっている作品!
こんにちは。
「グラン・トリノ」ご覧になられたのですね!
最近気になっている映画のひとつなので、ご感想とても参考になりました。

う~ん…しかし「奇跡の海」のような後味?
わたくし当時この作品を観た後、何とも言いがたい無常感に襲われ
軽く落ち込んでしまったのでした。

なかなか悩みどころですが
店長さんのおすすめならば、観てみようかと思います。

2009/05/09(土) 16:40 | URL | ゆきこ #-[ 編集]
こんにちは
> ゆきこさん

気になっていた作品ならば、ぜひ観ていただきたいと思います。

テーマ的に楽しい気分にしてくれる映画ではけっしてありませんが、途中けっこう笑えるシーンもあるんですよ。
2009/05/09(土) 19:45 | URL | moi店主 #mLjQvPPA[ 編集]
この映画
実はこの映画、以前マジシャンの西くんが「映画を語る会」のイベントで大絶賛していました。
試写の段階の時期だったと思うのですが、彼の言う映画評はかなりの確立で正しいので信用しているのです。
キノ・イグルーさまも絶賛しているとなるとこれは本物ですね。

でも、アメリカって国は本当に懐深いなあ。自身の暗部を公開してもそれがエンターティメントになるのだから・・・。
2009/05/10(日) 08:47 | URL | ふじしろまゆみ #gPMrNS32[ 編集]
こんにちは
> ふじしろまゆみ さま

西亮一、熱く語ってくれそうですね。このブログを見たら、いちど吉祥寺まで来るように(笑)。

主人公の行動は、現在の銃社会に対するひとつのイーストウッドなりの「指針」のようにも思えます。
2009/05/10(日) 18:45 | URL | moi店主 #mLjQvPPA[ 編集]
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