北欧、フィンランドをこよなく愛するカフェ店主がつづる日々のあれやこれや。

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原宿で雑誌の打ち合わせ。その後、買い物のため銀座へ。移動の地下鉄で、向かいに座っていた女子高生が友だちに向かって「浅草って、何県?」と訊いていた。いいなあ、高校生。まったく高校生は無敵だよなぁ(唯一の敵といえば新型インフルエンザくらいか)。

銀座でとりあえず一服したい気分だったので「カフェーパウリスタ」へ。なんとなく気楽なので、銀座ではわりとパウリスタ率が高い。そしていつも「パウリスタオールド」ばかり飲んでいる。

買い物をして、なんとなくぐるっと裏通りへまわってみたら、バイト真っ最中の知り合いにばったり出くわしてビックリした。たしかに以前そのあたりでバイトしているという話は聞いた憶えがあるのだが、すっかり忘れていたのだ。そこでバイトしているのは週に一日だけというから、もし覚えていたとしても会う確率は相当に低かったろう。東京が広いのか、ぼくに知り合いが少ないのか、外でばったり知り合いと出くわすということがふだんあまりないので「やや」テンションが上がる(笑)。

夜も次第に更けてきてお腹もへってきて、しかも湿度が低かったせいか夜風がとても心地よかったので「AUX BACCHANALES」に行くも、自分がますます呑めなくなっていることがわかり愕然とする。カールスバーグの小瓶、一本さえも飲めないんだもん。

ところで、お酒とタバコに消えるお金が、ぼくの場合どうやらすべてCDに消えているような気がする。きょうも、一見1950年代のジャズのアルバムのようにみえるルービンシュタインのピアノのCDをついついジャケ買い。「銀座」の雰囲気にのまれたような気もなきにしもあらず。

リスト:Pソナタリスト:Pソナタ
(2000/10/25)
ルービンシュタイン(アルトゥール)

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ジャケットは、ルービンシュタインの顔のイラストをあしらった巨大な広告の前を足早に通り過ぎる青いコートの女性をとらえたもので、John.G.Rossというフォトグラファーの名前がクレジットされている。広告には赤い文字で

シャンゼリゼ劇場
10月25日・11月2日
パリ音楽院管弦楽団 指揮アンドレ・クリュイタンス(10/25)
ピアノリサイタル(11/2)


と書かれていることからコンサートの告知であることがわかる。

これはあくまでもぼくの推測で、そんなことどこにも書かれてはいないのだけれども、もともとJohn・G・Rossの作品としてこの「パリの街角の、ルービンシュタインのポスターの前を通り過ぎる女性の写真」があって、たまたまそれを発見したレコード会社のディレクターがその写真にインスパイアされてこのレコードを企画したのではないだろうか? じっさい、このアルバムは晩年のルービンシュタインの録音から選曲し編集した「企画盤」なのだ。もちろん選曲も、パリのルービンシュタインに対するこのディレクター氏の「夢想」をじゅうぶんに反映したものとなっている。

前半にはブゾーニ編曲によるバッハ、フランク、リストのソナタ、そうして後半にはリスト、ドビュッシー、ヴィラ=ロボスの小品といった、いわゆるアンコールピースが並べられたプログラムで、まさしく「架空のリサイタル」といっていい構成となっているからだ。


195×年11月2日。パリ。快晴。時刻はたぶん、女性の影の長さから想像するに15時半から16時半の間くらい。晴れてはいても、街ゆくひとびとはみな自然と足早になってしまうような、そんな冷たい風が吹き付ける一日だったのではないか。

「フィガロ」紙には、ひさびさに当地を訪れ今夜シャンゼリゼ劇場でリサイタルをひらくことになっている世紀の大ピアニストの記事が、政治家のスキャンダルとおなじくらい大きく扱われている。当然というべきか、チケットはすべてソールドアウト。それでもあきらめきれないファンたちは、何百分の一くらいの確率でチケットが自分のもとにまわってくる幸運を信じて劇場のまわりをウロウロと徘徊している。

そしてたぶんこの夜の客席には、香水のむせかえるような匂いの中、あの「青いコートの女」もきっといるはずなのだ。
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