80年代、好んで聴いていたバンドにThe Go-Betweensというのがあった。オーストラリアの出身ながら、スコットランドの「ポストカードレーベル」からアルバムをリリースするなどイギリスを中心に地味に地味に活躍したバンドである。いまも、日本で370人くらい(根拠ナシ)は彼らのことを憶えているかもしれない。「Spring Hill Fair」、いま聴いても最高!
ところで、彼らのバンド名である"Go-Between"を辞書で引くと、「仲立ちをする者」といった意味がでてくる。そして、それはまた、ぼくがここmoiでこうありたいと願う姿とも重なる。
カフェの扉をひらく人は、みなそれぞれカップ一杯分の「時間」を求めてやってくる。恋人や友だちと語らうために、仕事に疲れた自分をリセットするために、ときには自分だけの「ひとりの時間」を手に入れるために・・・。カップ一杯のコーヒー(あるいはお茶)は、ひとつのきっかけ、フックにすぎない。だから、とりたてて特別なお膳立てなどしなくとも、「時間」を求める人がいて、そこになにがしかのフックさえあれば、その空間は大きな意味での《カフェ》といえるかもしれない。つまり、そのとき店に立つぼくは無色透明の存在、たんなる「仲立ちをする者」である。
インテリアもBGMもコーヒーの味も、moiで提供するすべてについてぼくの理想とするところは、強烈な印象を残さないことにある。過不足なく、ただ空気のように、それぞれの「時間」が刻む秒針のあいだを静かに充たしていたいのである。Go-Betweensの「うた」のように。
ところで、彼らのバンド名である"Go-Between"を辞書で引くと、「仲立ちをする者」といった意味がでてくる。そして、それはまた、ぼくがここmoiでこうありたいと願う姿とも重なる。
カフェの扉をひらく人は、みなそれぞれカップ一杯分の「時間」を求めてやってくる。恋人や友だちと語らうために、仕事に疲れた自分をリセットするために、ときには自分だけの「ひとりの時間」を手に入れるために・・・。カップ一杯のコーヒー(あるいはお茶)は、ひとつのきっかけ、フックにすぎない。だから、とりたてて特別なお膳立てなどしなくとも、「時間」を求める人がいて、そこになにがしかのフックさえあれば、その空間は大きな意味での《カフェ》といえるかもしれない。つまり、そのとき店に立つぼくは無色透明の存在、たんなる「仲立ちをする者」である。
インテリアもBGMもコーヒーの味も、moiで提供するすべてについてぼくの理想とするところは、強烈な印象を残さないことにある。過不足なく、ただ空気のように、それぞれの「時間」が刻む秒針のあいだを静かに充たしていたいのである。Go-Betweensの「うた」のように。
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この記事へのコメント
この1ヶ月あまりというもの、毎日GBsを聞いています。悲しくて、辛くて、やめようやめようと思いながら。
去る5月6日、フロントマンの一人、グラント・マクレナンがブリスベンの自宅で睡眠中に亡くなりました。享年48歳。2000年にGBsを再結成して以来、コンスタントに佳作を発表し、昨年は母国オーストラリアで音楽賞をとるなど、ようやく一般に評価され始めた矢先のことでした。
いまだに信じられません。死ぬような人じゃなかったのに。好きな音楽は山ほどありますが、これほど自分に重なる音楽はありませんでした。まるで身体の一部を失ったような気持ちです。
このところ雨の日が続いていますね。そういえば、GBsの曲は雨や曇り空をうたったものがとても多い。だからヒットが出なかったのかも、なんて思ったりしてしまいます。春の雨に打たれながら、この悲しみをしっかりと受け止めて生きてゆきたい。GBsと出会えたことは、私の財産です。
去る5月6日、フロントマンの一人、グラント・マクレナンがブリスベンの自宅で睡眠中に亡くなりました。享年48歳。2000年にGBsを再結成して以来、コンスタントに佳作を発表し、昨年は母国オーストラリアで音楽賞をとるなど、ようやく一般に評価され始めた矢先のことでした。
いまだに信じられません。死ぬような人じゃなかったのに。好きな音楽は山ほどありますが、これほど自分に重なる音楽はありませんでした。まるで身体の一部を失ったような気持ちです。
このところ雨の日が続いていますね。そういえば、GBsの曲は雨や曇り空をうたったものがとても多い。だからヒットが出なかったのかも、なんて思ったりしてしまいます。春の雨に打たれながら、この悲しみをしっかりと受け止めて生きてゆきたい。GBsと出会えたことは、私の財産です。
2006/06/22(木) 18:24 | URL | baleine #-[ 編集]
こんにちは。
いつもカップ二杯分くらい堪能させていただいております。
お会計時は気持ちの中では座布団二枚分差し出しているのですが・・・。
いつもカップ二杯分くらい堪能させていただいております。
お会計時は気持ちの中では座布団二枚分差し出しているのですが・・・。
2006/06/22(木) 21:28 | URL | Rotter #t5k9YYEY[ 編集]
> baleineさん
ふたつのことに驚かされました。
その1 グラント・マクレナンの早過ぎる死。
その2 Go-Betweensについてのコメントが入っていたこと。
本当に久しぶりに(何年ぶり?)彼らの音楽について思い出したのは、なにか「虫の知らせ」的なセンチメンタルなものではなく、baleineさんのおっしゃるとおりここ最近のお天気のせいかもしれません。
> Rotterさん
まいどありがとうございます。「ヤマダくん」に座ぶとんを取られぬよう精進したいと思います。
ふたつのことに驚かされました。
その1 グラント・マクレナンの早過ぎる死。
その2 Go-Betweensについてのコメントが入っていたこと。
本当に久しぶりに(何年ぶり?)彼らの音楽について思い出したのは、なにか「虫の知らせ」的なセンチメンタルなものではなく、baleineさんのおっしゃるとおりここ最近のお天気のせいかもしれません。
> Rotterさん
まいどありがとうございます。「ヤマダくん」に座ぶとんを取られぬよう精進したいと思います。
2006/06/22(木) 22:37 | URL | moi店主 #mLjQvPPA[ 編集]
今年の5月の連休は、季節外れの雨続きでしたね。やはりグラントが降らせたのでしょうか。私の方こそ、こんなご近所にこの気持ちを共有できる方がいたことに驚いています。
GBsは80年代の終わりに一度解散し、それぞれソロで活動していましたが、'96年に一度、「一夜限り」の再結成コンサートをパリで行っています(カッコつきなのは、なぜかその直後にロンドンでギグをやっているからです!)このコンサートはすごく良い出来というのではなかったけれど、世界中からファンが駆けつけて、涙・涙の一夜でした。(私もずっと一緒に歌っていました。)
その後は特に音沙汰なく、私も仕事で忙しくてあまり気に留めていなかったのですが、2000年に突然再結成・アメリカで新譜発表、ワールドツアーも精力的にこなし、トータルで3枚のアルバムをリリースしました。どれも素晴らしいのですが、特に「bright yellow bright orange」は、20年の歳月が嘘のようにピュアで瑞々しく、忘れていた大切なものを思い出させてくれます。また、何故か突然ボーナスレアトラック満載の旧作がデジタルリマスターで再発され、日本公演まで実現してしまって、再評価の機運が高まっていました。ベル・アンド・セバスチャンをはじめ、今をときめく多くのアーティストが影響を受けたバンドとしてGBsを挙げていることから、新たに若いファンも増えたのではないかと思います。
振り返れば、人生の半分をGBsと共に過ごしたことになります。気がつけば、いつもそこに彼らの音楽がありました。まるで、自分の気持ちを歌っているのではないかと思ったことさえあります。
遺作となったDVD「That striped sunlight sound」は最後のGBsの姿
をとらえています。穏やかなグラントの表情に、まるで自らの死を予感しているかのような充実感と陰りを見てしまうのは私だけでしょうか。ロックの歴史を塗り替えることも、ノーベル平和賞にノミネートされることもなかったけれど、崇高な人生がここにあります。
GBsは80年代の終わりに一度解散し、それぞれソロで活動していましたが、'96年に一度、「一夜限り」の再結成コンサートをパリで行っています(カッコつきなのは、なぜかその直後にロンドンでギグをやっているからです!)このコンサートはすごく良い出来というのではなかったけれど、世界中からファンが駆けつけて、涙・涙の一夜でした。(私もずっと一緒に歌っていました。)
その後は特に音沙汰なく、私も仕事で忙しくてあまり気に留めていなかったのですが、2000年に突然再結成・アメリカで新譜発表、ワールドツアーも精力的にこなし、トータルで3枚のアルバムをリリースしました。どれも素晴らしいのですが、特に「bright yellow bright orange」は、20年の歳月が嘘のようにピュアで瑞々しく、忘れていた大切なものを思い出させてくれます。また、何故か突然ボーナスレアトラック満載の旧作がデジタルリマスターで再発され、日本公演まで実現してしまって、再評価の機運が高まっていました。ベル・アンド・セバスチャンをはじめ、今をときめく多くのアーティストが影響を受けたバンドとしてGBsを挙げていることから、新たに若いファンも増えたのではないかと思います。
振り返れば、人生の半分をGBsと共に過ごしたことになります。気がつけば、いつもそこに彼らの音楽がありました。まるで、自分の気持ちを歌っているのではないかと思ったことさえあります。
遺作となったDVD「That striped sunlight sound」は最後のGBsの姿
をとらえています。穏やかなグラントの表情に、まるで自らの死を予感しているかのような充実感と陰りを見てしまうのは私だけでしょうか。ロックの歴史を塗り替えることも、ノーベル平和賞にノミネートされることもなかったけれど、崇高な人生がここにあります。
2006/06/23(金) 01:33 | URL | baleine #-[ 編集]
baleineさん、こんにちは。
ぼくはbaleineさんとは異なり、多くのインディーズ(なんて言葉は当時はなくて、マイナーレーベルなんて言われていましたが)出身のミュージシャンやレーベルそのものが次々とメジャーの傘下に吸収されていった80年代半ばを機にポップミュージックそのものに以前ほどの魅力を感じなくなってしまったような人間ですので、いまThe Go-Betweensについて語るなんておこがましい話ではありますが、なぜか彼らの音楽だけは不意に頭の中に流れ出すことがあります。華やかさとは無縁の彼らでしたが、そんなふうに記憶にとどまるのがまた彼ららしいと言えるかもしれませんね。
ぼくはbaleineさんとは異なり、多くのインディーズ(なんて言葉は当時はなくて、マイナーレーベルなんて言われていましたが)出身のミュージシャンやレーベルそのものが次々とメジャーの傘下に吸収されていった80年代半ばを機にポップミュージックそのものに以前ほどの魅力を感じなくなってしまったような人間ですので、いまThe Go-Betweensについて語るなんておこがましい話ではありますが、なぜか彼らの音楽だけは不意に頭の中に流れ出すことがあります。華やかさとは無縁の彼らでしたが、そんなふうに記憶にとどまるのがまた彼ららしいと言えるかもしれませんね。
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