北欧、フィンランドをこよなく愛するカフェ店主がつづる日々のあれやこれや。

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作家、池波正太郎がその晩年、八年間にわたり「銀座百点」に連載していた日記をまとめた『池波正太郎の銀座日記(全)』を読んでいる。いまでいえば、さしずめ池波正太郎ブログといった感じ。食べたものと観た映画の話でほぼ7割、残りの3割は芝居の話と友人、知人の訃報とで占めている。途中、しきりに「飲めなくなった」「食が細くなった」というぼやきとも嘆きともつかない独白がふえてくるあたりから、「『老い』と向きあうひとりの男の日常」という「通奏低音」が姿をあらわし、通して読んでゆくとおなじ本にもかかわらず明らかにその肌触りが変わってしまっていることに気く。本人は「老い」をテーマに書こうと決めているわけではなくただ淡々とその日常を綴っているにすぎないのだが、それだけにむしろ読む側としてはチクチクとした「痛み」を感じないわけにはいかない。ぼくのように、ほとんど酒を飲めないに等しい人間にとっては、以前ほどに「飲めなくなる」ことがそこまで嘆かわしいことなのかまったく理解はできないのだが、ひとはそんな思いがけない現実(よくわからないが、たとえば「トイレが近くなった」とか「たらばガニを食べるのが面倒臭い」とか、あるいはまた「テレビで松岡修造を見ると疲れる」とか)によってみずからの「老い」を突きつけられるものなのだろう。映画についてはまさに雑食。試写状の届いたものはとりあえずなんでも、しかもそれ相応に楽しんでしまうというひとだったようでそのぶん「作家による映画評」といったものを期待すると肩すかしを喰うが、ぼくの場合はこの日記が書かれたころがちょうど学生時代にあたっていて、映画館にいちばん足を運んでいたころだったせいか登場する映画のひとつひとつがなつかしく、意外なところでおもしろく読むことができたのだった。

池波正太郎の銀座日記(全) (新潮文庫)池波正太郎の銀座日記(全) (新潮文庫)
(1991/03)
池波 正太郎

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