北欧、フィンランドをこよなく愛するカフェ店主がつづる日々のあれやこれや。

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もんやりとした曇り空の朝、コーヒーを飲みながらゲイリー・マクファーランド+ピーター・スミスのレコード『バタースコッチ・ラム』を聴いた。

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きのうは早朝、日本が決勝トーナメント行きを決めたサッカーの試合を観たおかげで、一日中「時差ボケ」並みのひどい眠気に悩まされた。そのせいもあってゆうべは早めに眠り、そのぶんいつもよりレコード一枚分、つまり45分ほど早く起きた。そしてまだ、なんとなく「時差ボケ」の残るアタマが選んだ一枚がこのレコードだったというわけだ。

ところでこのアルバム、ゲイリー・マクファーランドの遺作にして異色作である。1971年、このアルバムをリリースした数ヶ月後にゲイリー・マクファーランドは亡くなっている。38歳だった。そして「異色作」というのはほかでもない、このアルバムが全編「歌モノ」であるということにある。

たしかにゲイリー・マクファーランドの他の作品にもボーカル入りの曲はすくなくない。けれどもたいていは、みずからヴィヴラフォンを演奏しながら、そのメロディーにユニゾンでふわーっとスキャットを被せているのがほとんど、こんな風にアルバム全体が歌詞つきの歌で構成されているのは唯一の例外といえる。しかも、このアルバムではゲイリー・マクファーランドと画家で詩人でもあるピーター・スミス(ジャケットのイラストも担当)とが交互にリードボーカルをとっているのだ。歌手が「本業」ではないふたりがつくったボーカルアルバムだなんて、制作の経緯をかんがえればかんがえるほどミステリアスな作品である。そして、そんなミステリアスな作品を残してゲイリー・マクファーランドは逝ってしまった……。

針を落とし、聞こえてくる音に耳を澄ます。なんとなく頼りない(「本業」じゃないのだから当たり前だが)ふたりの歌声のせいか、全体が生暖かい靄につつまれたかのような印象である。でも、けっしてドリーミーというわけではない。そこには「甘さ」が、決定的に欠けている。むしろ、バタースコッチ・ラムの味? 味わったことないからよくわからないな。どちらかといえば、きっとそれは「ほろ苦い」のだろう。

このアルバムでは、とりわけオープニングを飾る一曲「All My Better Days」がすばらしいということになっている。じっさい、胸やけするくらいいい曲だと思う。けれども、アルバムの中から一曲だけ取り出してうんぬんするのは愚かしいとも思う。たとえばビーチボーイズの『ペットサウンズ』がそうであるように、この『バタースコッチ・ラム』もまたアルバム全体であまりにも儚く美しいひとつの世界を現前させているからだ。歌うことを「本業」としないふたりのアーティストが、あえて歌うことによって世に問いたかった世界、そのどこか危なっかしい魅力が耳をとらえて放さない。

ターンテーブルをお持ちの方はぜひレコードで、そうでない方は廃盤になってしまっているCDをぜひ中古で探してみてください。「All My Better Days」を試聴できるサイトはたとえばこちら→●で。
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